改正道路交通法の施行により、2023年4月1日から自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化されます。

そもそも改正道路交通法とは、日本の法律である「道路交通法」に対して、時代に即した改正が成されたもので、幾度も改正が重ねられてきたものです。自転車利用者のヘルメット着用努力義務化は、自転車事故で命を落としてしまった人の約7割が頭部に致命傷を負い、また、ヘルメットを着用しない場合の事故による致死率は、着用時に比べて約2.3倍に跳ね上がることで、交通事故による被害軽減を目指して努力義務とされたものです。
※データは2017年~2021年までの東京都内における自転車乗車中事故における死者の損傷部位ならびに致死率の割合

しかし、ここで注意しなくてはならないことは、ヘルメットは決して万能ではないことです。確かにヘルメットを被っていたために救われた命は数多くあります。しかし、被っていても落としてしまう命もあります。頭部を守るヘルメットが、その機能を発揮することは『正しく被る』ことが大前提です。そのうえで、ヘルメット各社はそれぞれの安全性を謳います。

KASKのヘルメットは、独自の安全基準の基にヘルメットの安全性を考え、そのテクノロジーを全てのモデルに落とし込んでいます。それが“The ROTATIONAL IMPACT WG11 TEST”です。The ROTATIONAL IMPACT WG11 TEST(回転衝撃WG11テスト)は、回転衝撃に対するヘルメットの性能を測定する、ヘルメット内部の斜め衝撃テストです。

The ROTATIONAL IMPACT WG11 TEST

ヘルメットがその機能を最大に発揮するのは、サイクリストが危機的状況に陥った時です。その状況にひとつとして同じものはありませんが、多くは転倒によって路面等に頭部を打ち付けることが考えられます。そしてその瞬間において、いかにヘルメットが頭部を保護するか、これが重要なカギとなります。路面等にサイクリストの頭部が接触した時に、ヘルメットの帽体が変形して衝撃を吸収、脳を含む頭部のダメージを可能な限り軽減することが、ヘルメットメーカーの基本的な考え方ですが、KASKはここに独自基準を設けています。

KASKが多くの事故を分析研究して得た結論は、サイクリストが危機的状況に陥るとき、頭部は路面に対して、単に直線的に衝突するのではなく、そこに回転の衝撃も加わることでした。つまり何かしらの状況で自転車から投げ出されたサイクリストが頭部から落下する時、そこには多かれ少なかれ「ひねり」の力が作用し、これが深刻な脳の損傷につながる可能性があると考えたからです。この回転衝撃に対するヘルメットの性能を測定するための客観的な方法が、KASKの社内プロトコルであるKASK ROTATIONAL IMPACT WG11 TEST。KASKはより安全なヘルメットを提供するために、国際基準を遥かに超えた回転衝撃テストを導入しました。社内プロトコルを使う理由は、一般的なヘルメットテストでは、正確なデータをとれない可能性があるとKASKは考えるからです。

KASKの回転衝撃テストは、全てのヘルメットにおいて秒速6mを超える速度で行います。テストの合否基準は、脳損傷のレベルを定義するアルゴリズムであるBrlCピーク値(脳損傷基準)であり、その数値は0.68より低くする必要があります。そしてこの数値が低いほど脳損傷のリスクが低いことになります。

すべてのKASKヘルメットはBrlCピーク値が0.39を下回り、基準値である0.68を大きく下回る値です。これはサイクリストが危機的状況に陥った時でも、脳損傷のリスクを軽減できる可能性があり、安全性が高いヘルメットであると言えます。

世界のトップを走り続けるプロフェッショナルサイクリングチームのINEOS Grenadiersが、永くKASKをパートナーとしているのは、KASKのヘルメットは軽量性や空力などの機能性とともに、信頼がおける最先端の安全性を有しているからです。それはすなわち、思いがけず、危険な競技として選手に牙をむくこともある自転車レースにおいて、選手の生命を最優先に考える常勝軍団としての責務でもあるからです。

 

KASK本国HPにも、WG11の説明があります。

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※ROTATIONAL IMPACT TEST PASSED(回転衝撃WG11テスト合格)は、KASK社の登録商標です。